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インボイス制度は結局どれがお得?3割特例・2割特例・簡易課税・本則課税を徹底比較【2027年最新版】

インボイス制度 3割特例・2割特例・簡易課税・本則課税 徹底比較

30秒でわかる結論

結論から言います。2027〜2028年分の消費税申告で対象要件を満たす個人事業主フリーランスなら、「3割特例」が最も節税になり、かつ手続きが最も簡単です。届出不要・売上税額の30%を納めるだけ。これが2027年以降の最短答えです。

30秒でわかる結論まとめ
一番節税できる
3割特例(売上税額の30%)
一番簡単・手間なし
3割特例(届出不要)
フリーランス向け
3割特例 → 2029年〜簡易課税
2029年以降(3割特例終了後)
第5種は簡易課税、経費多は本則課税
インボイス制度の4大消費税計算方式の違いとメリット比較マトリクス図解
【図解】インボイス制度「4大消費税計算方式」違い・メリット比較マトリクス

売上別・ひと目でわかる比較表

年商(税抜) 3割特例
売上税額×30%
2割特例
売上税額×20%
簡易課税
第5種・50%
本則課税
経費率30%仮定
お得な順
300万円 9万円 6万円 15万円 21万円 3割特例
500万円 15万円 10万円 25万円 35万円 3割特例
800万円 24万円 16万円 40万円 56万円 3割特例

2割特例は2026年分で終了のため参考値。本則課税は課税仕入れ率30%の仮定計算。実際は経費構成次第で大きく変わります。

この記事は2026年6月10日時点の国税庁・財務省公表情報に基づきます。税務上の最終判断は個別事情によりますので、申告前に国税庁の最新情報または税理士にご確認ください。

まず結論|ケース別おすすめ制度

あなたの状況別に、最もお得になりやすい制度を一覧にまとめました。まずここで自分のケースを確認し、詳しい解説は各セクションで確認してください。

売上300万円・500万円・800万円別の消費税納税額比較シミュレーショングラフ図解
【図解】売上別(300万・500万・800万)消費税納税額の比較シミュレーション
ケース おすすめ制度(2027〜2028年) 理由・ポイント
売上300万円・個人事業主 3割特例 納税9万円。届出不要で手間最小。簡易課税(第5種)の15万円より6万円お得。
売上500万円・個人事業主 3割特例 納税15万円。簡易課税(第5種)25万円より10万円お得。
売上800万円・個人事業主 3割特例 納税24万円。簡易課税(第5種)40万円より16万円お得。2年間で32万円の差。
経費が少ない(純利益率70%以上) 3割特例 本則課税では経費が少ないほど納税額が増える。3割特例が有利。
経費が多い(課税仕入れ70%以上) 本則課税 実額控除が使える本則課税で還付・節税ができる可能性がある。
副業・売上が少ない 登録判断から検討 そもそも登録すべきかを先に検討。登録済なら3割特例が最もシンプル。
ITフリーランス(第5種) 3割特例 第5種の簡易課税50%より3割特例30%が大幅有利。2年間の節税額は大きい。
Webデザイナー(第5種) 3割特例 同上。ソフトウェア・ツール費が多い場合のみ本則課税を試算。
コンサルタント(第5種) 3割特例 経費が少なく利益率が高いため3割特例が圧倒的に有利。
卸売業(第1種) 簡易課税 みなし仕入率90%で納税は売上税額の10%。3割特例の30%より有利。
小売業(第2種) 簡易課税 みなし仕入率80%で納税は売上税額の20%。3割特例より有利。
2029年以降(3割特例終了後) 簡易課税(第5種) 届出は2029年申告期限(2030年3月31日)までに提出可(円滑化措置)。

3割特例とは?

3割特例とは、インボイス登録により免税事業者から課税事業者になった個人事業主が、売上税額の30%だけを納める2年間限定の経過措置です(2027年分・2028年分)。届出不要で使え、2割特例の後継制度として令和8年度税制改正で設けられました。対象者や計算方法の詳細はインボイス3割特例の完全解説をあわせて確認してください。

3割特例の計算式
売上税額課税売上高(税抜)× 10%
納税額売上税額 × 30%
計算例税抜売上500万円 → 売上税額50万円 → 納税額 15万円

3割特例の基本情報

項目内容
適用期間2027年分(令和9年分)・2028年分(令和10年分)の2年間
対象者インボイス登録により免税事業者から課税事業者になった個人事業主のみ
法人は使えるか使えない(個人事業主限定)
売上要件基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下
届出不要(確定申告書への付記のみ)
納税負担売上税額の30%(2割特例の1.5倍)
帳簿・記録簡便(仕入税額の実額集計が不要)

3割特例のメリット

  • 届出不要:申告書に付記するだけで適用。事前の手続きが一切ない。
  • 計算が簡単:売上税額に30%を掛けるだけ。仕入税額を積み上げる必要がない。
  • 第5種フリーランスに有利:簡易課税(50%)と比べて20%分の節税になる。
  • 2割特例からの移行がスムーズ:届出ルール・計算方法が似ているため、移行コストが小さい。

3割特例のデメリット・注意点

  • 2割特例より税負担が増加:売上税額の20%→30%に増える(例:売上500万円で年5万円増)。
  • 2年間の期間限定:2029年以降は使えない。次の制度を早めに決める必要がある。
  • 個人事業主限定:法人は対象外。
  • 元々課税事業者だった個人は使えない:インボイス登録が免税→課税のきっかけになった人が対象。
  • 卸・小売業では不利:第1・2種は簡易課税の方が納税額が少ない。

3割特例を選ぶべき人

  • 対象要件を満たす個人事業主(特にITフリーランス・デザイナー・コンサルタント)
  • 経費・仕入れが少なく、利益率が高い事業者
  • 事務負担を最小化したい人
  • 2029年以降の制度選択をまだ決めていない人(まずこれを使いながら試算する)

2割特例とは?

2割特例とは、インボイス登録により課税事業者になった事業者(個人・法人とも)が、売上税額の20%のみを納められた制度で、2026年分(令和8年分)をもって終了します。3割特例と比べて税負担が軽く、最も優遇された経過措置でした。

2割特例の計算式
売上税額課税売上高(税抜)× 10%
納税額売上税額 × 20%
計算例税抜売上500万円 → 売上税額50万円 → 納税額 10万円

2割特例の適用タイムライン

2023〜2025年分
2割特例が適用可能。売上税額の20%のみ納付。
2026年分(令和8年分)
個人事業主の2割特例が使える最後の年。令和8年9月30日までの日が属する課税期間まで適用可能。個人事業主は2026年12月31日が課税期間末日のため2026年分まで使える。
2027年分〜(令和9年分〜)
2割特例は使えない。個人事業主は3割特例・簡易課税・本則課税から選択。法人は簡易課税または本則課税。2割特例終了後の選択肢と手続きはこちらで詳しく解説しています。
2029年分〜(令和11年分〜)
3割特例も終了。簡易課税(届出済)または本則課税のみ。

2割特例の概要

項目2割特例
適用期間令和8年9月30日までの日が属する課税期間まで(個人は2026年分まで)
対象者インボイス登録により課税事業者になった個人事業主・法人
納税額売上税額の20%
届出不要
終了後個人は3割特例・簡易課税・本則課税、法人は簡易課税・本則課税
重要:2割特例は2026年分で終了します。2027年分以降の申告方式を早めに決め、簡易課税を使う場合は届出期限を確認してください。詳しくはインボイス制度の経過措置ガイドもご参照ください。

簡易課税とは?

簡易課税とは、業種ごとに決められた「みなし仕入率」を使って消費税の仕入税額控除を計算する制度です。実際の仕入れ・経費の消費税を集計しなくてよい反面、事前の届出が必要で、2年間の継続適用が義務付けられています。

簡易課税の計算式
売上税額課税売上高(税抜)× 10%
みなし仕入税額売上税額 × みなし仕入率(業種によって異なる)
納税額売上税額 − みなし仕入税額
計算例第5種・売上500万円:売上税額50万円 × (1 − 50%) = 25万円
簡易課税事業区分第1種から第6種までのみなし仕入率と業種一覧図解
【図解】簡易課税制度「事業区分(第1種〜第6種)とみなし仕入率」と税負担

業種別みなし仕入率と納税負担

事業区分 代表的な業種 みなし仕入率 売上税額100万円の
納税額
3割特例との比較
第1種 卸売業 90% 10万円 簡易課税が有利(差20万円)
第2種 小売業、農林水産業(飲食料品) 80% 20万円 簡易課税が有利(差10万円)
第3種 建設業、製造業、農業など 70% 30万円 ほぼ同等(差0万円)
第4種 飲食店業など(第1〜3・5・6種以外) 60% 40万円 3割特例が有利(差10万円)
第5種 サービス業・IT・デザイン・コンサル・士業 50% 50万円 3割特例が有利(差20万円)
第6種 不動産業 40% 60万円 3割特例が有利(差30万円)

簡易課税の届出・手続き

  • 事前届出が必須:消費税簡易課税制度選択届出書を、適用したい課税期間の初日の前日までに提出。
  • 個人事業主の原則期限:2027年分から使いたい場合は2026年12月31日までに提出。
  • 2年間の継続適用:一度選択すると2年間は変更できない。
  • 基準期間の課税売上高が5,000万円超の場合は使えない
  • 3割特例終了後の円滑化措置:3割特例の翌課税期間から簡易課税を使う場合は、遅れた届出でも対応できる可能性がある(詳しくは簡易課税届出期限ガイドを参照)。

本則課税とは?

本則課税(原則課税)とは、売上に係る消費税額から、実際に支払った仕入れ・経費の消費税額(仕入税額控除)を差し引いて納税額を計算する方法です。届出不要(何も選ばなければ本則課税になる)ですが、毎月・毎年の経費をインボイスとともに正確に集計する手間がかかります。

本則課税の計算式
売上税額課税売上高(税抜)× 10%
仕入税額課税仕入れ(税抜)× 10%(実額を集計)
納税額売上税額 − 仕入税額(実額)
計算例売上500万円(課税仕入150万円):50万円 − 15万円 = 35万円

本則課税のメリット

  • 経費・仕入れが多ければ節税になる:課税仕入れが多いほど控除額が増え、納税額が減る。
  • 還付が受けられる:設備投資や大型購入があった年は消費税の還付が生じることがある(3割特例・簡易課税では原則不可)。
  • 届出不要:何も選択しなければ自動的に本則課税になる。
  • 実態に最も近い課税:実際の経費を正確に反映できる。

本則課税のデメリット

  • 帳簿管理が複雑:課税仕入れをすべてインボイス付きで記録・集計する必要がある。
  • 経費が少ないと不利:仕入税額控除が少なければ、3割特例・簡易課税より納税額が多くなる。
  • フリーランスには向かないケースが多い:サービス業はそもそも課税仕入れが少ない。

本則課税が有利なケース

状況理由
課税仕入れが売上の50%以上を占める実額控除が簡易課税のみなし仕入率を超えるため
大型設備投資をした年設備の消費税を一括控除でき、還付になることがある
外注費・仕入れが多い製造業・建設業第3種の簡易課税(70%)より実額が高ければ本則課税有利
免税事業者に戻れない状況での比較実際の経費が多いほど有利

4制度の違いを一覧比較

3割特例・2割特例・簡易課税・本則課税 4大制度の一目瞭然比較図解
【図解】3割特例・2割特例・簡易課税・本則課税の特徴と税負担・手続きの比較早見表

3割特例・2割特例・簡易課税・本則課税の違いを、税負担・手続き・向いている人の観点から一表にまとめます。

項目 3割特例 2割特例 簡易課税 本則課税
適用期間 2027〜2028年分(個人のみ) 〜2026年分(終了済) 届出後・継続適用 制限なし(デフォルト)
対象者 免税→課税になった個人事業主 免税→課税になった個人・法人 売上5,000万円以下の課税事業者 すべての課税事業者
納税負担 売上税額の30% 売上税額の20% 業種により10〜60% 実際の経費次第
計算の手間 低い 低い 低〜中 高い
帳簿管理 簡単 簡単 比較的簡単 詳細な記録が必要
届出 不要 不要 必要(事前) 不要
2年間継続 なし(年ごとに判断可) なし(年ごとに判断可) あり(2年間) なし
還付の可否 原則不可 原則不可 原則不可 可能
法人も使えるか 不可
向いている人 第5種フリーランス、経費少 (終了済)全業種・低コスト申告 第1・2種業種、経費管理を簡素化したい人 経費・仕入れが多い事業者

年商300万円の場合のシミュレーション

税抜年商300万円(売上税額30万円)の個人事業主フリーランス(第5種サービス業)での比較です。

年商300万円(税抜)シミュレーション
第5種サービス業・課税仕入れ率30%仮定(本則課税のみ)
最もお得
3割特例
9万円
届出不要・手間最小
2割特例(参考)
6万円
2026年分で終了
簡易課税(第5種)
15万円
3割特例より6万円多い
本則課税
21万円
経費率30%仮定
制度計算内容納税額2割特例との差3割特例との差事務負担
2割特例(参考)30万円×20%6万円−3万円最小
3割特例30万円×30%9万円+3万円最小
簡易課税(第5種)30万円×(1−50%)15万円+9万円+6万円
本則課税(経費率30%)30万円−9万円21万円+15万円+12万円

年商300万円の小規模フリーランスにとって、3割特例は簡易課税(第5種)より年6万円、本則課税(経費率30%)より年12万円安くなります。2年間(2027〜2028年)では合計12〜24万円の節税です。届出も不要なため、迷ったら3割特例一択と言っても過言ではありません。

年商500万円の場合のシミュレーション

税抜年商500万円(売上税額50万円)の個人事業主フリーランス(第5種サービス業)での比較です。

年商500万円(税抜)シミュレーション
第5種サービス業・課税仕入れ率30%仮定(本則課税のみ)
最もお得
3割特例
15万円
届出不要・手間最小
2割特例(参考)
10万円
2026年分で終了
簡易課税(第5種)
25万円
3割特例より10万円多い
本則課税
35万円
経費率30%仮定
制度計算内容納税額3割特例との差有効実負担率事務負担
2割特例(参考)50万円×20%10万円−5万円0.67%(税抜売上比)最小
3割特例50万円×30%15万円1.0%最小
簡易課税(第5種)50万円×(1−50%)25万円+10万円1.67%
本則課税(経費率30%)50万円−15万円35万円+20万円2.33%

年商500万円では、3割特例を選ぶことで簡易課税(第5種)より年10万円の節税になります。2年間で20万円の差は、フリーランスにとって無視できません。本則課税との差は年20万円、2年間で40万円です。

年商500万円は、多くのフリーランスが直面する典型的な売上水準です。この規模で3割特例を選ばないのは、年10万円を「わざわざ捨てている」ことに近い状況です。

年商800万円の場合のシミュレーション

税抜年商800万円(売上税額80万円)の個人事業主フリーランス(第5種サービス業)での比較です。この規模になると制度選択の影響が大きくなります。

年商800万円(税抜)シミュレーション
第5種サービス業・課税仕入れ率30%仮定(本則課税のみ)
最もお得
3割特例
24万円
届出不要・手間最小
2割特例(参考)
16万円
2026年分で終了
簡易課税(第5種)
40万円
3割特例より16万円多い
本則課税
56万円
経費率30%仮定
制度計算内容納税額3割特例との差2年間の差月換算の差
2割特例(参考)80万円×20%16万円−8万円−16万円−約6,667円
3割特例80万円×30%24万円
簡易課税(第5種)80万円×(1−50%)40万円+16万円+32万円+約13,333円
本則課税(経費率30%)80万円−24万円56万円+32万円+64万円+約26,667円

年商800万円では、3割特例と簡易課税(第5種)の差が年16万円に広がります。2027年・2028年の2年間で合計32万円の差です。本則課税(経費率30%仮定)との差は年32万円、2年間で64万円にのぼります。この規模のフリーランスにとって、制度選択は実質的に大きな「給与」の差になります。

ITフリーランスの場合

ITフリーランス(エンジニア・プログラマー・システム開発者)は第5種サービス業に分類されることが多く、3割特例が最も有利な制度です。

ITフリーランスの典型的なコスト構造

費用項目課税仕入れ?備考
ソフトウェア・SaaSサブスク原則課税消費税の控除が使える
PC・周辺機器購入課税大型購入時のみ影響大
交通費・出張費課税(一部非課税)鉄道・バスは課税
家賃(事務所按分)原則非課税住居は非課税
自分への報酬・給与課税対象外仕入税額控除は不可

ITフリーランスは経費の大半が自分の労働力(給与代わりの売上)であり、課税仕入れは売上の10〜30%程度に収まるケースが多いです。このため、本則課税は最も不利になりやすい制度です。

ITフリーランス(年商700万円)の比較

ITフリーランス 年商700万円(税抜)シミュレーション
第5種・課税仕入れ率15%(ツール代・機材費など少額)
最もお得
3割特例
21万円
課税仕入れに関わらず固定
2割特例(参考)
14万円
2026年で終了
簡易課税(第5種)
35万円
3割特例より14万円多い
本則課税
59.5万円
経費率15%仮定→最も高い

経費率が低いITフリーランスほど本則課税が不利になり、3割特例の優位性が際立ちます。2年間で簡易課税より28万円の節税になります。

Webデザイナー・クリエイターの場合

WebデザイナーやイラストレーターなどのクリエイターもIT同様、第5種サービス業として分類されることが多く、3割特例が有利です。

デザイナー(年商450万円)の比較

Webデザイナー 年商450万円(税抜)シミュレーション
第5種・課税仕入れ率25%(Adobe CC・PC機材・フォントなど)
最もお得
3割特例
13.5万円
売上税額45万円×30%
2割特例(参考)
9万円
2026年で終了
簡易課税(第5種)
22.5万円
3割特例より9万円多い
本則課税
33.75万円
仕入税額11.25万円控除後

デザイナーはAdobe CC・フォント・クラウドサービスなど、一定の課税仕入れがありますが、それでも3割特例が最も納税額を抑えられます。ただし、高額な機材(100万円超のPC・プリンター等)を購入した年は、本則課税で還付や大幅節税が見込める場合もあるため、個別に試算することをお勧めします。

コンサルタントの場合

経営・ITコンサルタントは、経費が最も少ない業種のひとつです。「売上 = ほぼ利益」という構造から、本則課税は最も不利で、3割特例が圧倒的に有利です。

コンサルタント(年商600万円)の比較

コンサルタント 年商600万円(税抜)シミュレーション
第5種・課税仕入れ率10%(交通費・ツール代・書籍など最小限)
最もお得
3割特例
18万円
売上税額60万円×30%
2割特例(参考)
12万円
2026年で終了
簡易課税(第5種)
30万円
3割特例より12万円多い
本則課税
54万円
仕入税額6万円のみ控除

コンサルタントは本則課税が最も不利です。経費率10%の場合、本則課税の納税額は3割特例の3倍になります。2年間(2027〜2028年)で3割特例と本則課税の差は72万円。この規模では制度選択が最重要の節税対策です。

副業・サイドビジネスの場合

副業でインボイス登録するかどうかは、本業の消費税処理と切り離して考える必要があります。まずは登録すべきかどうかを判断し、登録する場合は3割特例が最もシンプルな選択肢です。

副業でのインボイス制度 ステップ別判断

ステップ確認事項判断ポイント
①取引先の要望確認 副業の取引先(クライアント)がインボイスを求めているか BtoC(個人向け)なら登録しなくても影響が少ないことが多い
②売上規模の確認 副業の年間売上がいくらか 売上が少ないほど免税のままの方が手間なし
③本業との合算 本業(会社員)と副業の売上合計が1,000万円超えるか 超えるなら課税事業者になる義務が生じる
④登録を決めた場合 3割特例の要件を満たすか確認 要件を満たせば3割特例が最もシンプル・低税負担

副業・売上100万円の比較

制度納税額(売上税額10万円)手間向き不向き
3割特例3万円最小副業に最適
簡易課税(第5種)5万円届出期限の管理が必要
本則課税7〜9万円(経費少)副業には不向き

副業で年商100万円(売上税額10万円)の場合、3割特例なら年3万円の納税で済みます。簡易課税より2万円安く、本則課税(経費少)より4〜6万円安い計算です。副業フリーランスにとっては、届出も不要な3割特例を選ばない理由はほとんどありません。

ただし、副業の場合でもインボイス登録判断が最初の分岐点です。インボイス登録判定ツールを使って、まず登録すべきかを確認することをお勧めします。

よくある失敗と回避策

制度選択を誤ると、数万円〜数十万円の無駄な税負担が生じることがあります。以下は実際によくある失敗パターンです。

失敗パターン リスク リスクレベル 回避策
簡易課税の届出期限を見逃す 届出が間に合わず本則課税が強制適用。第5種の場合、納税額が大幅増加。 2026年12月31日(2027年分適用)までに届出。スケジュール管理必須。
「個人事業主だから3割特例は使える」と思い込む 元々課税事業者だった個人や法人は使えない。誤った申告になる可能性。 インボイス登録前の免税事業者だったか確認。国税庁のフローチャートで判定。
2割特例が2027年も使えると思い込む 2026年分で終了しているため、2027年分に2割特例を使うと申告誤り。 2026年分で終了を確認。2027年以降の方式を2026年中に決定する。
業種を誤って簡易課税の区分を間違える みなし仕入率を高く設定すると過少申告。低く設定すると過払い。 国税庁の業種区分表で確認。複数業種がある場合は原則最も低いみなし仕入率を適用。
「経費が多いから本則課税が得」と安易に判断 非課税仕入れ(家賃等)が多い場合、本則課税でも控除できない。 課税仕入れ(消費税がかかる経費)だけで試算する。非課税・不課税は除外。
簡易課税の2年継続ルールを知らずに届出 設備投資で本則課税に戻りたいのに、2年間変更できなくなる。 届出前に2年分の経費計画を試算。大型設備購入予定がある場合は慎重に判断。
3割特例終了後の制度を何も決めていない 2029年から自動的に本則課税が適用。第5種フリーランスは大幅増税になる可能性。 2028年中に2029年以降の方式を決定。簡易課税なら円滑化措置を活用して届出。
消費税申告を所得税申告と同じ期限と思い込む 消費税の申告期限は個人事業主の場合3月31日(所得税は3月15日)。延滞税が発生する可能性。 カレンダーに消費税申告期限(翌年3月31日)を別途登録しておく。
副業でも自動的に課税事業者になると勘違い インボイス登録しなければ課税事業者にはならない(売上1,000万円超を除く)。 まず登録すべきかをインボイス登録判定ツールで確認。
消費税の端数処理を行ごとに行う インボイス(適格請求書)での端数処理は1枚あたり税率ごとに1回のみ。行ごとに処理すると法令違反。 消費税端数処理ガイドで正しいルールを確認。

2027年以降どうなる?

2027年以降の消費税申告の全体像を整理します。2割特例の終了後、個人事業主には段階的に選択肢が絞られていきます。

2026年〜2029年の制度ロードマップ

〜2026年分(令和8年分)
2割特例が使える最後の年。個人・法人ともに対象(要件を満たす場合)。この年中に翌年以降の方式を決め、必要なら簡易課税届出書を提出。
2027年分(令和9年分)
個人事業主は3割特例・簡易課税・本則課税から選択。法人は簡易課税か本則課税。第5種フリーランスは3割特例が最有利。
2028年分(令和10年分)
3割特例が使える最後の年。この年のうちに2029年以降の方式を決定。簡易課税へ移る場合は円滑化措置を活用。
2029年分〜(令和11年分〜)
3割特例終了。簡易課税(届出済)または本則課税のみ。届出なしの場合は本則課税が自動適用。第5種フリーランスは要注意。

2029年以降の選択肢と決め方

選択肢 届出期限 向いている人 注意点
簡易課税(第5種) 3割特例終了後の円滑化措置で、2029年分の申告期限(2030年3月31日)までに届出可能なケースあり IT・デザイン・コンサル・士業など第5種 2年間継続。業種区分の確認必須。
本則課税 届出不要(自動適用) 課税仕入れが多い製造業・建設業、設備投資がある年 帳簿管理が複雑。経費少なら不利。
インボイス登録取消 取消届の提出が必要 BtoC中心でインボイス需要がなくなった人 登録取消後はインボイス発行不可。取引先への影響を事前確認。
2029年以降は、3割特例という「救済措置」がなくなります。今のうちに2029年以降を見据えた試算を行い、簡易課税への移行準備をしておくことが重要です。詳しくはインボイス制度と確定申告ガイドもご参照ください。

フローチャート診断|あなたはどれを選ぶべき?

以下の質問に順番に答えることで、あなたに最適な制度を絞り込めます。

1
あなたは個人事業主ですか?(法人ではない)
→ はい:次へ → いいえ(法人):3割特例は使えない。簡易課税または本則課税へ
2
インボイス登録(T番号取得)前は免税事業者でしたか?
→ はい:次へ → いいえ(元々課税事業者):3割特例は原則使えない。簡易課税か本則課税を選ぶ
3
基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下ですか?
→ はい:次へ → いいえ(1,000万円超):3割特例は使えない。簡易課税か本則課税を選ぶ
4
申告対象年は2027年分または2028年分ですか?
→ はい:次へ → いいえ(2029年以降):3割特例は終了。簡易課税(届出済)か本則課税へ
5
あなたの事業の業種は?
→ 第5・6種(サービス・IT・デザイン・不動産) → 第1・2種(卸・小売)
6
【第5・6種の場合】課税仕入れ(消費税がかかる経費)が売上の30%以上ありますか?
→ 少ない(30%未満) → 多い(50%以上):本則課税も試算を推奨
→ 結論:3割特例(2027〜2028年分)が最もお得で手間なし
7
【第1・2種の場合】簡易課税のみなし仕入率が3割特例(30%負担)より有利ですか?
→ 第1種(10%負担)・第2種(20%負担):簡易課税が有利 → 第3種(30%負担・ほぼ同等)
→ 結論:簡易課税を届出(第1・2種)or 3割特例(第3種)

よくある質問(FAQ)

Q
インボイス制度で一番節税できる制度はどれですか?
2027〜2028年分の対象個人事業主なら3割特例が最も節税になります(売上税額の30%のみ納付)。2割特例は2026年分で終了しているため参考値です。業種が第1・2種(卸・小売)なら簡易課税が有利なこともあります。
Q
3割特例は誰が使えますか?
インボイス登録により免税事業者から課税事業者になった個人事業主のみ対象です。法人・元々課税事業者だった個人・基準期間の課税売上高が1,000万円超の人は使えません。適用期間は2027年分(令和9年分)と2028年分(令和10年分)の2年間です。
Q
2割特例が終わった後はどうすればいいですか?
個人事業主は2027年分から3割特例・簡易課税・本則課税のいずれかを選びます。第5種(IT・デザイン・コンサル)なら3割特例が最も有利です。法人は簡易課税または本則課税を選びます。
Q
簡易課税の届出期限はいつですか?
原則として、適用したい課税期間の初日の前日までに届出書を提出します。個人事業主が2027年分から使いたい場合は2026年12月31日が期限です。ただし、3割特例の翌期間に簡易課税を使う場合は円滑化措置があります。詳しくは簡易課税届出期限ガイドをご参照ください。
Q
本則課税の方が得になるケースはありますか?
課税仕入れが売上の50%以上を占める場合、または大型設備投資をした年は本則課税が有利になることがあります。還付が生じるケースもあります。ただし、純粋なサービス業フリーランスは本則課税が最も不利になるケースがほとんどです。
Q
フリーランスはどの制度を選ぶべきですか?
2027〜2028年分の対象個人事業主なら3割特例が最もおすすめです。特にITエンジニア・デザイナー・コンサルタントなど第5種サービス業のフリーランスは、簡易課税(50%負担)より3割特例(30%負担)が大幅に有利です。2029年以降は簡易課税への移行を準備することをおすすめします。
Q
副業の場合はどうすればいいですか?
まずインボイス登録が必要かどうかを確認してください(取引先の要望・売上規模を考慮)。登録済みで3割特例の要件を満たす個人事業主なら、3割特例が最も手間が少なく低税負担の選択肢です。
Q
売上300万円のフリーランスはどれを選ぶべきですか?
対象要件を満たす個人事業主なら3割特例が最も有利で、納税額は約9万円です。簡易課税(第5種)なら約15万円、本則課税(経費率30%仮定)なら約21万円となります。3割特例は届出も不要で手間も最小限です。
Q
売上800万円のITフリーランスはどれを選ぶべきですか?
3割特例の納税額は約24万円、簡易課税(第5種)は約40万円。3割特例が年16万円安く、2年間で32万円の差になります。本則課税(経費率30%仮定)との差は年32万円で、2年間では64万円の差です。
Q
3割特例と簡易課税を同じ年に使えますか?
同じ課税期間に両方を使うことはできません。どちらか一方を選びます。なお、年ごとに申告方式を変えることは一定の条件下で可能です(簡易課税は2年間継続の義務あり)。
Q
本則課税で還付を受けられますか?
本則課税では、仕入税額控除が売上税額を上回れば消費税の還付を受けられます。大型設備投資や輸出取引がある場合に生じることがあります。3割特例・2割特例・簡易課税では基本的に還付は生じません。
Q
みなし仕入率とは何ですか?
簡易課税で使う業種ごとの仕入率です。第1種(卸売業)90%・第2種(小売業)80%・第3種(製造業等)70%・第4種(飲食業等)60%・第5種(サービス業等)50%・第6種(不動産業)40%。この率が高いほど納税額が少なくなります。
Q
簡易課税から本則課税に戻れますか?
簡易課税は2年間の継続適用が義務付けられています。2年経過後に「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することで本則課税に戻れます。
Q
3割特例終了後に簡易課税へ移るには?
令和8年度税制改正の円滑化措置により、3割特例の翌課税期間から簡易課税を使う場合、通常より遅い期限で届出できるケースがあります。国税庁資料では、2029年分から使う個人事業主は2030年4月1日までに届出できる例が示されています。詳細は国税庁の最新情報をご確認ください。
Q
2割特例はいつ終わりますか?
令和8年(2026年)9月30日までの日が属する課税期間まで適用できます。個人事業主の課税期間は1月1日〜12月31日のため、2026年分(令和8年分)が最後です。2027年分からは使えません。
Q
デザイナーやライターはどの制度が有利ですか?
デザイナー・ライター・イラストレーターは第5種(みなし仕入率50%)に分類されることが多く、2027〜2028年分は3割特例(30%)が大幅に有利です。経費が多い場合のみ本則課税を個別に試算してください。2029年以降は簡易課税への移行を検討してください。
Q
消費税の申告書はどこで作れますか?
国税庁の確定申告書等作成コーナー(e-Tax)のほか、freee・マネーフォワードクラウドなどのクラウド会計ソフトで作成できます。3割特例・簡易課税等の対応状況は各ソフトのアップデート情報をご確認ください。
Q
消費税の端数処理はどうすればいいですか?
インボイスの端数処理は1枚のインボイスにつき税率ごとに1回のみ(切り捨て・切り上げ・四捨五入いずれか)。行ごとに端数処理することは認められていません。詳しくは消費税端数処理ガイドをご確認ください。
Q
経費ゼロのコンサルタントは本則課税と簡易課税どちらが有利ですか?
経費がほぼゼロのコンサルタントの場合、本則課税では控除できる仕入税額がほぼゼロになり、売上税額をほぼそのまま納めることになります。簡易課税(第5種・50%控除)の方が有利で、さらに2027〜2028年分は3割特例(70%控除相当)が最も有利です。
Q
インボイス登録を取り消すことはできますか?
インボイス登録(適格請求書発行事業者登録)を廃止することは可能です。ただし廃止後はインボイスを発行できなくなるため、取引先への影響の確認が必要です。また一定条件下では免税事業者に戻れない期間があります。事前に税理士に相談することをお勧めします。

まとめ|2027年以降の制度選択 アクションガイド

この記事の結論まとめ

  • 2027〜2028年分の個人事業主フリーランスは、対象要件を満たすなら3割特例一択が最もお得かつ手間なし。
  • 第5種(IT・デザイン・コンサル・士業)は、3割特例なら簡易課税より大幅に有利(売上500万円で年10万円差)。
  • 第1・2種(卸・小売)は、簡易課税のみなし仕入率が3割特例より有利。2026年12月31日までに届出を完了させること。
  • 3割特例の対象外(法人・元々課税事業者)は、今すぐ簡易課税か本則課税の試算を行うこと。
  • 2029年以降のために、3割特例終了後の円滑化措置を活用して簡易課税への移行準備を早めに行うこと。
  • 2割特例は2026年分で終了済。2027年以降に2割特例を使おうとすることは誤申告になる。

事業タイプ別・最終おすすめまとめ

事業タイプ 2027〜2028年 2029年以降 すぐやること
IT・デザイン・コンサル(第5種)個人 3割特例 簡易課税(第5種) 3割特例の要件確認→2028年中に簡易課税届出
ライター・士業(第5種)個人 3割特例 簡易課税(第5種) 同上
卸売業(第1種)個人・法人 簡易課税 簡易課税(第1種) 2026年12月31日までに簡易課税届出
小売業(第2種)個人・法人 簡易課税 簡易課税(第2種) 2026年12月31日までに簡易課税届出
製造業・建設業(第3種) 3割or簡易課税(ほぼ同等) 実態に合わせて選択 本則課税も含め試算を実施
経費・仕入れが多い事業者 本則課税を試算 本則課税(還付も検討) 課税仕入れ率を試算して比較
副業・小規模フリーランス 3割特例(登録している場合) 簡易課税または登録取消検討 まず登録判断ツールで確認
法人(全業種) 簡易課税 or 本則課税 同左 業種のみなし仕入率で試算

次にとるべきアクション

  1. 自分の対象要件を確認する:個人事業主か、インボイス登録前は免税事業者か、基準期間の売上が1,000万円以下かを確認。
  2. 業種区分を調べる:国税庁の業種区分表で自分が第何種に当たるか確認。
  3. 3割特例と簡易課税の納税額を試算する:売上税額に30%(3割特例)と(1−みなし仕入率)(簡易課税)を掛けて比較。
  4. 必要なら簡易課税届出書を提出する:第1・2種や2029年以降を見据えた場合は届出期限を確認し提出。
  5. 2029年以降の計画を早めに立てる:3割特例終了後の選択を2028年中に確定させる。
制度選択は、申告の直前ではなく今すぐ決めることが大切です。届出期限の見逃しや方式の誤適用は、取り返しがつかない場合があります。迷った場合は、税理士への相談も合わせてご検討ください。

インボイス登録を検討中の方はインボイス登録判定ツールもあわせてご活用ください。制度選択に関連した確定申告の詳細はインボイス制度と確定申告ガイドでも詳しく解説しています。