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免税事業者の請求書の書き方|インボイス未登録でも使える記載例と注意点

免税事業者の請求書 書き方チェック

結論:免税事業者は、インボイス未登録でも通常の請求書を発行できます。ただし、適格請求書発行事業者ではないため、登録番号を記載した「インボイス」としては発行できません。請求書には発行者名、宛名、取引日、取引内容、金額、支払期限、振込先を記載し、必要に応じて「適格請求書発行事業者ではありません」と明示します。

このページでは、免税事業者 請求書 書き方で迷うポイントを、実際の記載例つきで整理します。狙いはシンプルです。取引先の経理が処理しやすく、自分もインボイスと誤解される表記を避けられる請求書にすることです。

この記事の対象
個人事業主・フリーランス・副業ワーカー・小規模法人など、インボイス登録をしていない免税事業者向けです。登録済みの課税事業者は、登録番号と税率ごとの消費税額等を含む適格請求書を発行してください。

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免税事業者はインボイス未登録でも請求書を出せる?

出せます。国税庁は、免税事業者であってもインボイスに該当しない請求書や領収書等の交付はこれまでどおり可能と説明しています。ただし、インボイスを発行できるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者だけです。

つまり、免税事業者の請求書で大事なのは次の2点です。

  • 通常の請求書として必要な情報を不足なく書く
  • 登録番号があるインボイスだと誤解される表記を避ける
注意
未登録なのに架空の登録番号を書いたり、「適格請求書」「インボイス対応」などと表示したりするのは避けてください。取引先の仕入税額控除に影響し、トラブルの原因になります。

免税事業者の請求書に書く項目

免税事業者の請求書は、インボイスの6項目を完全に満たす必要はありません。ただし、取引先が経費処理しやすいよう、次の項目は入れておくのがおすすめです。

項目 書き方 ポイント
請求書タイトル 請求書 「適格請求書」は使わない
発行日・請求書番号 2026年5月27日、INV-2026-001など 再発行や入金確認に便利
宛名 株式会社〇〇 御中、〇〇様 部署名・担当者名があれば入れる
発行者情報 屋号、氏名、住所、電話番号、メール 屋号だけでなく氏名もあると照合しやすい
取引日・取引内容 制作費、業務委託費、相談料など 何の対価か具体的に書く
金額 単価、数量、小計、税込合計 総額がすぐわかる表示にする
支払期限・振込先 2026年6月30日、銀行名・支店名・口座番号 振込名義の指定があれば備考へ
備考 適格請求書発行事業者ではありません 取引先の経理判断を助ける

インボイス未登録の請求書 記載例

免税事業者が発行するインボイス未登録の請求書見本サンプルと3大鉄則図解
【図解】免税事業者が発行する「インボイス未登録の請求書」見本と3大鉄則

以下は、免税事業者が取引先企業へ業務委託費を請求する場合のシンプルな記載例です。

請求書
請求日:2026年5月27日
請求書番号:INV-2026-005
ご請求先
株式会社サンプル 御中
発行者
山田デザイン事務所 山田 太郎
東京都〇〇区〇〇 1-2-3
mail@example.com
取引内容
Webサイト記事制作費(2026年5月納品分)
明細
記事制作 5本 × 20,000円 = 100,000円
支払期限
2026年6月30日
振込先
〇〇銀行 〇〇支店 普通 1234567 ヤマダタロウ
備考
当方は適格請求書発行事業者ではありません。本書は適格請求書ではなく、通常の請求書として発行しています。
ご請求金額100,000円

ポイントは、タイトルを「請求書」にして、登録番号欄を作らないことです。取引先から未登録かどうかを聞かれやすい場合は、備考欄に一文を入れておくとやり取りが減ります。

消費税はどう書く?税込・税抜・消費税相当額の考え方

免税事業者の消費税表記3パターン比較とフリーランスに最適な見せ方図解
【図解】免税事業者の「消費税表記」3パターン徹底比較と推奨マナー

免税事業者の請求書で最も迷いやすいのが消費税表記です。実務では、取引先との契約・見積書・発注書の金額表示に合わせるのが基本です。

表示方法 向いているケース 注意点
税込合計のみ フリーランス・業務委託・単一税率の取引 インボイスと誤認されにくく、最もシンプル
本体価格+消費税相当額 契約書や見積書で税抜価格が決まっている場合 備考で未登録である旨を明示すると安全
税率ごとの税込合計 8%対象と10%対象が混在する場合 区分記載請求書と同様の事項として整理できる
実務上のおすすめ
単一税率のサービス業なら「税込合計のみ」がわかりやすいです。消費税相当額を分ける場合は「当方は適格請求書発行事業者ではありません」と添えて、インボイスではないことを明確にしましょう。

備考欄に使える文例

取引先に余計な確認をさせないため、備考欄には短く明確な文を入れます。強すぎる表現より、事務処理に必要な事実だけを伝えるのがコツです。

標準的な文例

当方は適格請求書発行事業者ではありません。本書は適格請求書ではなく、通常の請求書として発行しています。

やわらかい文例

現在、適格請求書発行事業者の登録は行っておりません。経理処理上必要な点がございましたらお知らせください。

登録予定がある場合

現在は適格請求書発行事業者ではありません。登録完了後の請求書から登録番号を記載いたします。

取引先側の経過措置:2026年10月から控除割合が変わる

免税事業者の請求書に対する取引先買い手側の経過措置スケジュールと控除割合図解
【図解】免税事業者の請求書に対する「取引先(買い手側)の経過措置スケジュール」

免税事業者から受け取った請求書は、買い手側では原則としてインボイスによる仕入税額控除の対象になりません。ただし、制度開始後6年間は経過措置があります。

期間 買い手側の控除割合 メモ
2023年10月1日〜2026年9月30日 仕入税額相当額の80% 現在の経過措置期間
2026年10月1日〜2029年9月30日 仕入税額相当額の50% 2026年10月以降、買い手の負担が増える
2029年10月1日以降 原則控除不可 現行の経過措置終了後

これは買い手側の税務処理の話であり、免税事業者が請求書を発行できなくなるという意味ではありません。ただし、取引先が課税事業者で、簡易課税や2割特例を使っていない場合は、価格交渉や登録要否の相談が増える可能性があります。

やってはいけない書き方

  • 未登録なのに「適格請求書」「インボイス対応」と書く
  • 架空の登録番号や、他人の登録番号を書く
  • 登録申請中の段階で、登録済みのように表示する
  • 請求総額、支払期限、振込先を省略する
  • 契約書・見積書と異なる税抜/税込表示にして、取引先を混乱させる

免税事業者の請求書 作成手順

  1. 請求書タイトルを「請求書」にする
  2. 請求日、請求書番号、宛名、発行者名を書く
  3. 取引内容、数量、単価、金額を明細化する
  4. 税込合計または契約に沿った金額表示にする
  5. 支払期限と振込先を入れる
  6. 備考欄に未登録である旨を書く
  7. PDFで保存し、送付メールにも請求書番号を入れる

ケース別:免税事業者の請求書の書き方

同じ免税事業者でも、仕事の種類や取引先によって請求書の見せ方は少し変わります。ここでは、個人事業主・フリーランスでよくあるケース別に、実務で使いやすい書き方を整理します。

Web制作・デザイン・ライターの場合

Web制作、デザイン、記事制作、編集、SNS運用などの仕事では、取引内容を「一式」とだけ書くと、後から何の請求だったか確認しづらくなります。納品物や対象月がわかるように、明細には「Webサイト制作費」「記事制作費 5本」「2026年5月分 SNS運用費」のように具体的に書きましょう。

明細例:記事制作費(2026年5月納品分) 5本 × 20,000円 = 100,000円

継続案件の場合は、請求書番号に年月を入れると管理が楽になります。たとえば「INV-202605-001」のようにしておくと、メール検索や入金消込のときに見つけやすくなります。

業務委託・コンサルティングの場合

業務委託やコンサルティングでは、契約書に月額報酬や稼働条件が書かれていることが多いため、請求書の明細も契約書の表現に合わせます。「業務委託費」「コンサルティング報酬」「月額サポート費」など、発注書・契約書・請求書で同じ言葉を使うと、取引先の承認フローがスムーズです。

明細例:2026年5月分 業務委託費 一式 150,000円

稼働時間に応じて請求する契約なら、稼働時間も入れておくと親切です。「単価 5,000円 × 24時間 = 120,000円」のように書けば、請求根拠が明確になります。

講師・セミナー・相談業の場合

講師料、研修費、相談料では、開催日やテーマを明細に入れます。単に「講師料」とだけ書くよりも、「2026年5月20日開催 経理研修 講師料」のように書く方が、相手先の経理・総務が社内確認しやすくなります。

明細例:2026年5月20日開催 セミナー講師料 1回 80,000円

交通費や宿泊費を立て替えている場合は、報酬と立替経費を分けて書きましょう。立替分は領収書の添付が求められることが多いため、請求書とは別に立替金精算書を作ると管理しやすくなります。

物販・ハンドメイド・小売の場合

物販やハンドメイド販売では、商品名、数量、単価、送料を分けて書くのが基本です。軽減税率対象の商品を扱う場合は、8%対象と10%対象を分けて記載すると、取引先が区分記載請求書として保存しやすくなります。

明細例:オリジナルポーチ 20点 × 1,500円 = 30,000円、送料 1,000円

食品など軽減税率対象の商品が混在する場合は、「8%対象」「10%対象」を明細または小計欄で分けます。免税事業者であっても、買い手側の経過措置や経理処理のために区分があると助かります。

請求書送付メールの例文

請求書の内容が正しくても、送付メールが曖昧だと確認漏れや支払い遅れにつながります。メール本文には、請求書番号、請求金額、支払期限、添付ファイル名を入れましょう。免税事業者であることを毎回長く説明する必要はありませんが、初回取引や問い合わせが多い相手には一文添えると安心です。

標準的な送付メール

件名:【請求書送付】2026年5月分業務委託費(山田デザイン事務所)

株式会社〇〇
〇〇様

いつもお世話になっております。山田デザイン事務所の山田です。
2026年5月分の請求書を添付にてお送りいたします。

請求書番号:INV-2026-005
ご請求金額:100,000円
お支払期限:2026年6月30日

ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

免税事業者であることを伝えるメール

なお、当方は現在、適格請求書発行事業者の登録を行っておりません。添付の請求書は適格請求書ではなく、通常の請求書として発行しております。経理処理上、追加で必要な情報がございましたらお知らせください。

登録予定がある場合のメール

現在は適格請求書発行事業者ではありませんが、登録手続きについて検討中です。登録が完了した場合は、登録日以後の請求書から登録番号を記載して発行いたします。

メールでは「インボイスを出せません」とだけ書くより、「通常の請求書として発行しています」と書く方が相手に伝わりやすくなります。相手が知りたいのは、支払ってよいか、経理でどう扱うか、追加資料が必要かという点です。

取引先から聞かれたときの回答例

インボイス制度では、免税事業者側だけでなく、買い手側の経理担当者も確認作業が増えています。そのため、登録番号の有無や今後の登録予定を聞かれることは自然です。感情的に返すのではなく、事実と今後の方針を短く答えると話が進みやすくなります。

「登録番号を教えてください」と言われた場合

現在、適格請求書発行事業者の登録は行っていないため、登録番号はございません。通常の請求書として発行いたします。

「インボイス対応できますか」と聞かれた場合

現時点ではインボイス対応の請求書は発行しておりません。登録の要否については、今後の取引条件や事務負担を踏まえて検討しております。

「消費税分を値引きしてほしい」と言われた場合

ご相談ありがとうございます。仕入れや外注費には当方も消費税相当額を負担しているため、単純に全額を値引きすることは難しい状況です。継続条件や業務範囲を含めて、双方にとって無理のない形で協議させてください。

免税事業者は、仕入れや経費の支払いで消費税相当額を負担している場合があります。取引先から価格見直しの相談を受けたときは、「免税だから消費税分は全部不要」と即断せず、実際のコストや業務範囲を踏まえて協議しましょう。

登録するかどうかを考える基準

この記事のテーマは請求書の書き方ですが、免税事業者の請求書を作っていると、最終的には「自分は登録すべきなのか」という問題にぶつかります。ここでは、請求書実務の観点から判断材料を整理します。

状況 登録を検討しやすい 未登録でも影響が小さい可能性
主な取引先 課税事業者の法人が多い 一般消費者、免税事業者、簡易課税の取引先が多い
取引金額 継続的な高額案件がある 少額・単発取引が中心
価格交渉 登録番号を求められることが多い 取引先から特に求められていない
事務負担 会計ソフトや税理士を使って管理できる 消費税申告の負担が重い

登録すると、インボイスを発行できる一方で、原則として消費税の申告・納税が必要になります。特にフリーランスや副業事業者は、売上規模だけでなく、取引先の属性、経理に使える時間、価格交渉の余地を含めて判断することが大切です。

判断に迷う場合
取引先がすべて一般消費者なら、相手は仕入税額控除を行わないため、インボイスを求められる場面は少ないです。一方、法人案件が多く、毎月請求している相手から登録番号を求められる場合は、登録のメリットと負担を具体的に比較しましょう。

請求書の保存期間とファイル管理

請求書は発行して終わりではありません。入金確認、確定申告、取引先からの問い合わせ、再発行依頼に備えて、発行した請求書の控えを保存しておきます。ファイル名と保存場所を決めておくと、後から探す時間を減らせます。

おすすめのファイル名

2026-05-27_INV-2026-005_株式会社サンプル_100000円.pdf

日付、請求書番号、取引先名、金額が入っていれば、メールやフォルダ内検索で簡単に見つけられます。取引先名だけ、または「請求書.pdf」だけのファイル名は、後から管理しづらくなるため避けましょう。

フォルダ管理の例

請求書 / 2026 / 05 / 発行済
請求書 / 2026 / 05 / 入金確認済

毎月の請求が多い人は、月別フォルダに分けるだけで十分です。入金後に「入金確認済」フォルダへ移す、またはファイル名の末尾に「_paid」を付けるなど、自分が続けやすいルールにします。

送付前チェックリスト

最後に、免税事業者が請求書を送る前に確認したい項目をまとめます。毎回このチェックを通すだけで、差し戻しや支払遅れをかなり減らせます。

  • タイトルが「適格請求書」ではなく「請求書」になっている
  • 登録番号欄を作っていない、または未登録である旨を備考に書いている
  • 宛名が「御中」「様」など相手に合った表記になっている
  • 請求日、請求書番号、取引内容、金額、支払期限が入っている
  • 税込・税抜の表示が契約書や見積書と一致している
  • 振込先の銀行名、支店名、口座種別、口座番号、名義が正しい
  • PDFファイル名に取引先名・請求書番号・金額が入っている
  • 送付メールに請求金額と支払期限を書いている

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よくある質問

Q
免税事業者はインボイス未登録でも請求書を発行できますか?
はい。通常の請求書や領収書はこれまでどおり発行できます。ただし、適格請求書発行事業者ではないため、登録番号を記載したインボイスとしては発行できません。
Q
請求書に「登録番号なし」と書くべきですか?
必須ではありません。ただし、取引先が経理処理しやすいよう、備考欄に「適格請求書発行事業者ではありません」と書くと親切です。
Q
消費税額を分けて書くと違法ですか?
消費税相当額を価格に含めて請求すること自体が直ちに禁止されるわけではありません。ただし、インボイスと誤認される表記は避け、取引先との合意に沿った表示にしてください。
Q
取引先にインボイス登録を求められたらどう答える?
「現在は免税事業者として登録しておらず、通常の請求書を発行しています。登録要否や取引条件については必要に応じて協議させてください」と伝えるのが無難です。一方的な値下げや取引停止がある場合は、公正取引委員会などの相談窓口も確認しましょう。

まとめ

免税事業者の請求書は、インボイスとして発行しないことを明確にしつつ、通常の請求書として必要な情報を揃えるのが基本です。登録番号欄を無理に作らず、備考欄で未登録である旨を伝えるだけでも、取引先の確認工数を減らせます。

2026年10月1日からは、買い手側の経過措置が80%から50%へ変わります。取引先が課税事業者の場合は、請求書の書き方だけでなく、価格・登録判断・契約条件についても早めに確認しておくと安心です。

参照した公的情報
本記事は、国税庁のインボイス制度資料、国税庁「適格請求書等保存方式について」、財務省・公正取引委員会等の「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」を参照し、2026年5月27日時点の内容として作成しています。