請求書をExcelで作りたい人向けに、インボイス制度対応のテンプレートを無料配布しています。登録番号欄・消費税10%と8%の自動計算・源泉所得税控除・振込先記入欄つき。ダウンロードしてすぐ使えます。
「毎月Excelで請求書を作っているが、インボイス対応の書き方がわからない」「消費税の計算をExcelに任せたい」「テンプレートをベースに自社用にカスタマイズしたい」という方に向けて作りました。
PDFで印刷して送付したい方には適格請求書テンプレート作成ツール(無料・登録不要)もあります。用途に合わせてご利用ください。
宛名欄 / 発行者欄 / インボイス登録番号欄 / 明細行10行(品目・数量・単価・税率・金額) / 消費税10%・8%の自動集計 / 税込合計 / 源泉所得税控除額(G29セルで調整) / 振込先口座欄 / 備考欄。すべて数式つき。
このテンプレートの特徴と使い方
Excelで請求書を作るとき、毎回消費税を電卓で計算している人は多いでしょう。このテンプレートは、数量と単価を入れるだけで消費税・税込合計・源泉所得税の控除後金額が自動で計算されます。インボイス制度で必要な「税率区分ごとの消費税額」も、10%と8%を分けて集計します。
このテンプレートが選ばれる理由
「Excelで請求書を作りたいけれど、どのテンプレートが使えるかわからない」という声をよく聞きます。このテンプレートはフリーランス・個人事業主の実務を想定して設計しており、以下の点で他のフリーテンプレートと異なります。
- インボイス制度の6要件にすべて対応済み — 発行者名・登録番号・取引年月日・取引内容・税率区分・消費税額の6項目をすべてカバー
- 10%・8%の混在請求に対応 — SUMIF関数で税率ごとに消費税を自動集計。軽減税率対象の品目がある場合も一枚で処理できます
- 源泉所得税の控除が1セルで切り替え可能 — G29セルを「0」にするだけで源泉不要の請求書に切り替わります
- 印刷範囲・A4縦レイアウトを設定済み — 「ファイル→印刷」でそのままA4に収まるよう印刷範囲が設定されています
- 数式セルに保護なし — ロック・パスワードがないため、自社ロゴの挿入・行の追加・フォント変更など自由にカスタマイズできます
テンプレートの構成
主な数式の仕組み
| セル | 内容 | 数式の仕組み |
|---|---|---|
| 金額列(G列) | 各明細の税抜金額 | =数量×単価(数量が空欄なら非表示) |
| 小計(G25) | 税抜合計 | =SUM(G14:G23) |
| 消費税10%(G26) | 10%対象分の消費税 | =ROUND(SUMIF(F列,"10%",G列)×0.1, 0) |
| 消費税8%(G27) | 8%対象分の消費税 | =ROUND(SUMIF(F列,"8%",G列)×0.08, 0) |
| 税込合計(G28) | 小計+両税額 | =G25+G26+G27 |
| 源泉所得税(G29) | 控除額 | =ROUND(G25×0.1021, 0)(不要なら0に変更) |
| ご請求金額(E11) | 最終請求額 | =G28−G29 |
テンプレートのカスタマイズ方法
Excelテンプレートはすべてのセルが編集可能です。以下はよく行われるカスタマイズと手順です。
| カスタマイズ内容 | 操作方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 会社ロゴを挿入する | 「挿入→画像」でロゴ画像を右上エリアに配置 | 印刷範囲に収まるようサイズ調整する |
| 明細行を増やす | 14行目〜23行目の間に行を挿入し、G列の数式をコピー | G25〜G27のSUM/SUMIF範囲を新しい行まで広げる |
| 発行者情報を固定する | 氏名・住所・登録番号を入力してマスタとして保存 | 毎回コピーして使い、元のマスタは上書き保存しない |
| フォントを変更する | 全選択(Ctrl+A)→ホームタブでフォント変更 | 游ゴシックからメイリオ等に変えてもレイアウトはほぼ崩れない |
| 支払期限の自動計算 | 発行日セルに「=TODAY()」、支払期限に「=発行日+30」など | 月末締めの場合はEOMONTH関数を活用 |
| 2シート目に控えを作る | シートタブを右クリック→「移動またはコピー」でシートを複製 | 控えシートでは数式セルを値貼り付けして固定する |
G29セルには「=ROUND(G25×0.1021, 0)」の数式が入っています。原稿料・デザイン料・講演料など源泉徴収の対象でない取引では、このセルを 0 に変更してください。源泉の要否は取引先へ確認するのが実務上安全です。
Excelテンプレートの使い方:5ステップ
ダウンロードしたファイルをExcelで開き、以下の手順で入力してください。数式セルは触らずに、白いセルだけ入力します。
- 宛名と発行者情報を入力する。
左上に取引先の社名・部署・担当者名(宛名)を入力します。右側には自分の氏名または屋号、住所、連絡先、インボイス登録番号(T+13桁)を入れます。 - 請求書番号・日付・対象期間を入力する。
請求書番号は「INV-2026-001」のように自分が管理しやすい形式で。発行日・請求日・支払期限・対象期間を入力します。 - 明細を入力する。
A〜F列に品目、詳細、単位、数量、単価(税抜)、税率を入力します。税率列はデフォルトで「10%」が入っています。軽減税率対象は「8%」に変更してください。G列(金額)は数式で自動計算されます。 - 源泉所得税を確認する。
G29セルに源泉所得税の計算式が入っています。源泉徴収の対象でない取引の場合は、G29を「0」に変更します。今回ご請求金額(E11)が自動で更新されます。 - 振込先口座と備考を入力する。
振込先の銀行名・支店名・口座種別・口座番号・口座名義(カナ)を入力します。備考欄に振込手数料の負担について記載しておくと親切です。
複数取引先・繰り返し請求への対応方法
毎月複数のクライアントに請求書を送るフリーランスにとって、Excelテンプレートを効率的に運用するには「取引先ごとのマスタ管理」が鍵です。以下の方法をおすすめします。
- 取引先ごとにマスタファイルを1つ作る:「クライアントA_マスタ.xlsx」「クライアントB_マスタ.xlsx」のように取引先別のマスタを用意し、宛名・振込先(取引先によって指定がある場合)・単価(継続案件の場合)を固定で入力しておきます。
- 毎月マスタをコピーして使う:Windowsエクスプローラーでマスタファイルを右クリック→コピーして「2026-06_クライアントA.xlsx」のように日付を付けて新規ファイルを作ります。前月のファイルから数値を書き換えるよりミスが少なくなります。
- 請求書番号を連番で管理する:INV-2026-001、INV-2026-002のように通し番号で管理すると、取引先からの照合連絡や確定申告のときに便利です。別のシートや紙の台帳に番号と金額を記録しておくと集計が楽になります。
- フォルダ構成を統一する:「2026年/06月/クライアント名/」のように年→月→取引先の階層でフォルダを作ると、後から探しやすくなります。確定申告時にそのまま経費・売上の証跡として使えます。
Excelで「ファイル → 名前を付けて保存 → PDF」を選べばPDFに変換できます。ファイル名は「2026-06_invoice_山田デザイン事務所.pdf」のように日付と発行者がわかる名前にすると、取引先が整理しやすくなります。
インボイス制度対応:Excelで気をつけるポイント
2023年10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、課税事業者として登録している場合、適格請求書の記載事項を満たす必要があります。Excelテンプレートを使う際に特に気をつけるポイントをまとめます。
適格請求書に必要な6項目
| 必須項目 | このテンプレートでの場所 | 注意点 |
|---|---|---|
| 発行事業者の氏名または名称と登録番号 | 右上の発行者欄・登録番号欄 | 「T+13桁」の形式で記載する |
| 取引年月日 | 発行日・対象期間欄 | 納品日または取引期間を明記 |
| 取引内容 | 明細欄(品目・詳細) | 「業務委託費」だけでなく具体的に書く |
| 税率ごとに区分した対価の額 | 消費税10%・8%の集計行 | 10%と8%が混在する場合は必ず分ける |
| 税率ごとの消費税額等 | 消費税10%・8%の集計行 | SUMIF数式で自動計算される |
| 書類の交付を受ける事業者の名称 | 宛名欄 | 法人名は正式名称で記載 |
インボイスに登録していない場合は、登録番号欄を空欄のままにしてください。Tから始まる架空の番号を記載することは不正表示にあたるため、絶対に避けてください。未登録の場合の請求書の書き方は免税事業者の請求書の書き方で詳しく解説しています。
Excelインボイスの記載例:フリーランスWebデザイナーのケース
以下は、Webデザイナーが複数の作業(LP制作・バナー制作・軽減税率対象の食品写真撮影)をまとめて請求する場合の記載例です。税率混在のケースは特に入力に注意が必要です。
| 品目 | 数量 | 単価(税抜) | 税率 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| LP制作(5月分) | 1 | 150,000円 | 10% | 150,000円 |
| バナー制作(3点) | 3 | 20,000円 | 10% | 60,000円 |
| 食品撮影(軽減税率対象) | 1 | 30,000円 | 8% | 30,000円 |
| 小計(税抜) | — | — | — | 240,000円 |
| 消費税10%分(210,000円×10%) | — | — | — | 21,000円 |
| 消費税8%分(30,000円×8%) | — | — | — | 2,400円 |
| 税込合計 | — | — | — | 263,400円 |
| 源泉所得税(210,000円×10.21%) | — | — | — | △21,441円 |
| 今回ご請求金額 | — | — | — | 241,959円 |
源泉徴収の対象となる報酬は「デザイン料・原稿料・講演料等」と国税庁が定めており、写真撮影は原則対象です。ただし、撮影料と機材費を分けて請求している場合は機材費部分が対象外になるケースがあります。判断に迷う場合は税理士か取引先の経理担当に確認してください。
端数処理のルール
インボイス制度では、消費税の端数処理は「請求書1枚につき税率ごとに1回」が原則です。このテンプレートでは ROUND 関数で小数点以下を四捨五入しています。切り捨て・切り上げ・四捨五入のどれが正しいかではなく、毎回同じ方法を使い続けることが重要です。取引先の会計ソフトと1円ずれることがある場合は、消費税 端数処理計算機で確認してください。
ExcelとPDFテンプレート、どちらを使う?
請求書ツールには大きく分けて「Excelテンプレート」と「WebツールからPDFを作成する方法」があります。どちらが向いているか、目的別に整理します。
| 観点 | Excel(このテンプレート) | Webツール(PDF作成) |
|---|---|---|
| カスタマイズ | 自由(行追加・デザイン変更可) | 決まった項目のみ |
| 保存・管理 | ローカルで管理できる | PDF保存・再入力が必要 |
| 消費税計算 | 数式で自動計算 | ツールが自動計算 |
| 使い始めの手間 | ダウンロード+初期設定が必要 | ブラウザで即開始できる |
| 複数クライアント管理 | ファイルをコピーして管理 | 毎回入力し直し |
| 向いている人 | 複数取引先・月次管理をしたい人 | すぐに1枚だけ作りたい人 |
Excelで請求書を管理するコツ
ファイル名のルール
Excelで請求書を管理する場合、ファイル名に「年月_取引先名_請求書番号」を入れると後から検索しやすくなります。例:「2026-06_株式会社ABC_INV-2026-003.xlsx」。送付用のPDFは同じ名前で保存し、元のExcelファイルは自分用に残します。
テンプレートの使い回し方
毎月同じ取引先に請求する場合は、前回のファイルをコピーして新しいファイルを作るのではなく、マスタテンプレートのコピーを毎回作る方法が安全です。前月のExcelをコピーすると、金額を書き換えたつもりで前月の数値が残るミスが起きやすいためです。このテンプレートをマスタとして保存し、使うたびにコピーして使用してください。
バックアップと電子保存
2024年1月以降、電子取引で受け取った書類は電子データで保存する義務があります(電子帳簿保存法)。自分が発行した請求書については、送付前のExcelファイルとPDFを日付フォルダや取引先フォルダに整理して保存しておくと、確定申告時の照合がスムーズになります。
「電子取引」に該当するのは、PDFをメールで送付・受取するケースがほぼすべてです。クラウドストレージ(Google Drive・OneDrive・iCloud)にバックアップしておくと、PC故障時のリスクも低減できます。
確定申告での請求書の使い方
フリーランス・個人事業主が確定申告をするとき、Excelで管理した請求書は「売上の証跡」として機能します。以下の点を押さえておくと、申告作業が格段に楽になります。
- 入金済み・未入金の管理:Excelの請求書ファイルに「入金日」列を追加するか、別シートで請求番号・請求額・入金日・未入金フラグを管理します。年末に未回収の請求がないかここで確認できます。
- 消費税の申告(課税事業者の場合):インボイス登録済みの課税事業者は消費税の申告が必要です。Excelの集計行から「10%消費税の合計」「8%消費税の合計」を年間で合算すれば、消費税の申告書の「課税売上高」に転記できます。
- 源泉所得税の確認:取引先が源泉徴収した税額は「支払調書」として翌年1月末〜2月頃に届きます。自分の請求書で計算した源泉所得税の合計と支払調書の金額を照合しておくと、確定申告の源泉税額控除の入力がスムーズです。
- 会計ソフトとの連携:freee・マネーフォワードクラウドなどの会計ソフトを使っている場合は、Excelの請求書データをCSVでエクスポートして取り込む方法もあります。ただし書式の変換が必要になるため、月次で手動入力する方が早いケースも多いです。
Excel請求書でよくある失敗とその防ぎ方
Excelで請求書を作り続けていると、一定の割合で以下のミスが発生します。送付前に必ずチェックしてください。
| よくある失敗 | 原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 前月の金額が残っていた | 前月ファイルをコピーして金額を書き換え忘れ | マスタから毎回コピーし、明細行を必ずクリアする |
| 請求書番号が重複した | 番号管理をしていない | 別シートまたはメモ帳で発行番号の台帳を作る |
| 消費税が取引先と1円ずれた | 端数処理方式の違い(四捨五入vs切り捨て) | 取引先に端数処理方式を確認し、G26・G27の数式を合わせる |
| 登録番号を書き忘れた | 発行者情報欄を毎回入力していない | マスタに登録番号を固定入力しておく |
| 宛名の会社名が前株・後株逆になった | 手入力時のミス | 取引先ごとの宛名マスタを作り、コピー貼り付けで運用 |
| PDFのレイアウトが崩れた | フォントや余白の変更後に印刷範囲が未調整 | PDF保存前にプレビューで確認し、印刷範囲を再設定 |
よくある質問(FAQ)
切り捨て(ROUNDDOWN):
=ROUNDDOWN(SUMIF(F14:F23,"10%",G14:G23)*0.1, 0)切り上げ(ROUNDUP):
=ROUNDUP(SUMIF(F14:F23,"10%",G14:G23)*0.1, 0)インボイス制度では「請求書1枚につき税率ごとに1回」の端数処理が原則で、切り捨て・切り上げ・四捨五入のいずれも認められています。ただし、取引先の会計ソフトと方式が違うと1円ずれることがあるため、消費税 端数処理計算機で3方式の結果を比較してから決めることをおすすめします。
まとめ
請求書のExcelテンプレートは、一度自分用に設定しておけば毎月の入力作業が大幅に楽になります。インボイス制度対応・消費税10%・8%の自動計算・源泉所得税控除・振込先欄をすべて含んだテンプレートを無料配布していますので、ぜひご活用ください。
Excelテンプレートは自分でカスタマイズできる自由度がある反面、毎回の入力・PDF変換・ファイル管理が必要です。すぐに1枚PDF請求書を作りたい場合は、適格請求書テンプレート作成ツールがより手軽です。用途に合わせて使い分けてください。
このページで学んだこと — チェックリスト
- ✅ Excelテンプレートには消費税10%・8%のSUMIF自動計算と源泉所得税控除が含まれている
- ✅ インボイスとして使う場合は登録番号欄(T+13桁)を必ず入力する
- ✅ 源泉徴収が不要な取引ではG29セルを「0」に変更する
- ✅ 端数処理方式(四捨五入・切り捨て・切り上げ)は取引先と揃える
- ✅ マスタファイルを1つ作り、毎月コピーして使うことで前月データの混入を防ぐ
- ✅ 電子メールで送付したPDFは電子帳簿保存法の対象 — フォルダに電子保存する
- ✅ 確定申告時は消費税集計行から10%・8%を合算し、売上台帳に転記する
請求書の書き方全般についてはフリーランスのための請求書の書き方ガイド、インボイス制度の基本についてはインボイス制度とは?フリーランスが最初に知るべき7つのポイントも合わせてご参照ください。
参考: 国税庁 インボイス制度の概要、国税庁 No.6625 適格請求書等の記載事項、国税庁 No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金